勘定科目「長期前払費用」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「長期前払費用」(読み仮名:ちょうきまえばらいひよう、分類:投資その他)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

長期前払費用とは

「長期前払費用」とは、企業が長期間にわたって発生する費用を前払いし、その支出額を複数の会計年度にわたって分割して費用計上する勘定科目です。通常、1年を超えて効果が継続するサービスや契約の前払い費用が対象となり、貸借対照表上では「資産」として計上されます。代表的な例としては、長期契約の保険料、リース料、広告契約料などがあり、これらは支払い時にすぐに費用として処理するのではなく、長期前払費用として計上し、その後、期間に応じて費用に振り替えられます。

長期前払費用は、契約や支払い時に一度に多額の費用が発生する場合に有効で、企業の会計処理を合理化する役割を持ちます。また、長期間にわたり効果が続く支出は、企業のキャッシュフローへの影響を分散し、経営資源の実態に沿った費用処理が可能となります。

長期前払費用はどのような時に使用されるのか

長期前払費用は、以下のようなケースで使用されます。

長期前払費用の仕分例

「長期前払費用」を使った具体的な仕分例です。

5年間分の保険料を一括で現金支払いし、長期前払費用として計上した

5年間分の保険料1,000,000円を一括で現金支払いし、長期前払費用として計上した場合:

借方:長期前払費用 1,000,000円 / 貸方:現金 1,000,000円

(説明:5年間分の保険料を一括で支払い、長期前払費用として計上しました)

5年間のリース契約料として前払金を支払い、長期前払費用として計上した

5年間のリース契約料として前払金400,000円を支払い、長期前払費用として計上した場合:

借方:長期前払費用 400,000円 / 貸方:現金 400,000円

(説明:リース契約料の5年分を前払いし、長期前払費用として処理しました)

年間のメンテナンス契約料を4年分一括で支払い、長期前払費用として計上した

年間のメンテナンス契約料240,000円を4年分一括で支払い、長期前払費用として計上した場合:

借方:長期前払費用 960,000円 / 貸方:現金 960,000円

(説明:4年間のメンテナンス契約料を一括前払いし、長期前払費用に計上しました)

4年間のメンテナンス契約料に対して、当期分を振替処理する

4年間のメンテナンス契約料960,000円を前払いし、当期分240,000円を振替処理する:

借方:メンテナンス費 240,000円 / 貸方:長期前払費用 240,000円

(説明:4年分のメンテナンス費から当期分を費用化しました)

10年分のソフトウェアライセンス料を現金で支払い、長期前払費用として計上した

10年分のソフトウェアライセンス料1,200,000円を現金で支払い、長期前払費用として計上した場合:

借方:長期前払費用 1,200,000円 / 貸方:現金 1,200,000円

(説明:ソフトウェアライセンス料の10年分を前払いし、長期前払費用として処理しました)

10年分のソフトウェアライセンス料に対して、当期分を振替処理する

10年分のソフトウェアライセンス料1,200,000円を前払いし、当期分120,000円を振替処理する:

借方:ソフトウェア使用料 120,000円 / 貸方:長期前払費用 120,000円

(説明:10年分のソフトウェア使用料から当期分を費用化しました)

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著者 / Tommy Ikura

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