勘定科目「貸倒引当金」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「貸倒引当金」(読み仮名:かしだおれひきあてきん、分類:流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

貸倒引当金とは

「貸倒引当金」とは、将来の貸倒損失に備えて、企業があらかじめ計上しておく費用のことを指します。貸倒引当金は、企業が顧客や取引先への売掛金や貸付金などの債権を有する際に、その一部が回収不能となるリスクに備えて、貸借対照表の資産の部(負債の部に計上する場合もある)に計上されます。貸倒引当金を設定することによって、将来発生する可能性のある貸倒損失を見積もり、その年度の費用として計上することで、企業の財務状況を正確に把握するための手段となります。

貸倒引当金の計上には、主に「個別評価」と「一般評価」という2つの方法があり、それぞれのリスクに応じて引当金を見積もります。例えば、特定の取引先が経営難に陥っている場合には、個別評価によって該当する債権について具体的な金額を見積もり引当金を計上します。一方、全体的な売掛債権に対しては、過去の貸倒実績や回収状況を基に一般評価を行い、一定の割合で貸倒引当金を計上します。

貸倒引当金を計上することで、企業は将来の貸倒リスクに備えるだけでなく、貸倒による利益の急激な減少を防ぐことができ、損益の安定化が図れます。また、貸倒引当金の計上は会計基準に基づいて行われるため、企業の財務状況の信頼性を保つ役割も果たしています。

貸倒引当金はどのような時に使用されるのか

貸倒引当金は、以下のような場合に使用されます。

貸倒引当金の計上は、債権の回収リスクを見積もるために欠かせない会計処理であり、企業の損益を安定させるための重要な手段です。貸倒損失が発生した場合に備えて計上することで、企業は財務基盤の安定性を確保し、健全な経営を維持することができます。

貸倒引当金の仕分例

「貸倒引当金」を使った具体的な仕分例です。

期末に売掛金に対して貸倒引当金を設定する

期末に売掛金200,000円に対して貸倒引当金5%を設定する場合:

借方:貸倒引当金繰入 10,000円 / 貸方:貸倒引当金 10,000円

(説明:売掛金の回収リスクに備えて、貸倒引当金を設定しました)

取引先の破産により、売掛金が回収不能となり貸倒引当金を充当する

取引先の破産により、売掛金50,000円が回収不能となり貸倒引当金を充当する場合

借方:貸倒引当金 50,000円 / 貸方:売掛金 50,000円

(説明:貸倒引当金を使用して回収不能な売掛金を処理しました)

長期貸付金に対して貸倒引当金を設定する

長期貸付金100,000円に対して、5,000円の貸倒引当金を設定する場合:

借方:貸倒引当金繰入 5,000円 / 貸方:貸倒引当金 5,000円

(説明:長期貸付金の貸倒リスクに備えて、貸倒引当金を設定しました)

貸倒引当金の残高が不要となり戻入した

貸倒引当金の残高が不要となり、10,000円を戻入した場合:

借方:貸倒引当金 10,000円 / 貸方:貸倒引当金戻入益 10,000円

(説明:不要となった貸倒引当金を戻入し、収益に計上しました)

期末において、全売掛金に対して貸倒引当金を設定する

期末において、全売掛金の総額300,000円に対して貸倒引当金を3%設定する場合:

借方:貸倒引当金繰入 9,000円 / 貸方:貸倒引当金 9,000円

(説明:売掛金の回収リスクを見積もり、貸倒引当金を追加計上しました)

翌期に売掛金が回収不能となり、貸倒引当金を充当する

翌期に売掛金30,000円が回収不能となり、貸倒引当金を充当する場合:

借方:貸倒引当金 30,000円 / 貸方:売掛金 30,000円

(説明:貸倒引当金を使用して回収不能な売掛金を処理しました)

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著者 / Tommy Ikura

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