勘定科目「小口現金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「小口現金」(読み仮名:こぐちげんきん、分類:流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
小口現金とは
「小口現金」とは、企業の日常的な少額支払いに対応するため、あらかじめ一定額の現金を用意しておく資金のことを指します。小口現金は、小さな金額の経費(交通費や消耗品費など)を頻繁に処理する場合に使用され、現金出納の手間を減らし、企業の支出管理をスムーズにするための仕組みです。通常、会社の会計部門や経理部門で管理され、支払いが必要になる都度、小口現金から支払われます。この現金を管理するための「小口現金出納帳」があり、支出の詳細や残高を正確に記録し、会社全体の帳簿と照合することで現金管理を行います。
小口現金の管理方法として、「インプレストシステム」が一般的です。このシステムでは、定期的に一定額の小口現金を用意し、使用した分だけを補充する形で現金残高を維持します。例えば、10,000円の小口現金を設定し、週ごとに支出がある場合、週末に支出分を再補充して元の金額に戻すという管理が行われます。このように、少額支払いを処理するために小口現金を活用することで、日々の業務における迅速な経費処理が可能になります。
小口現金はどのような時に使用されるのか
小口現金は、日常業務で生じる少額支出が頻繁に発生する場合に使用されます。企業では、交通費、郵送費、消耗品購入費などの少額経費が日常的に発生するため、これらを都度会計部門で処理するのは手間がかかります。このような少額の支出については、現金の流れを明確にし、帳簿との整合性を保ちながら簡便に管理する必要があります。
例えば、出張の際の交通費や、急遽必要となった備品の購入、顧客訪問時の軽食費など、会社の資金から支出する必要があるが、金額が比較的小さい支払いは、小口現金を使用して即座に対応します。会計処理においては、出納帳に記録することで現金の流れを把握し、週末や月末などに「補給」処理を行って元の残高に戻します。また、小口現金の使用頻度が高い場合は、定期的に帳簿との照合が行われ、残高が正確であることが確認されます。
小口現金の仕分例
「小口現金」を使った具体的な仕分例です。
小口現金を初めて用意した場合
小口現金として20,000円を準備し、経理部門に渡したとき:
借方:小口現金 20,000円 / 貸方:現金 20,000円
(説明:現金から小口現金に資金を充当し、経費支払いに備えます)
交通費を小口現金で支払った場合
業務での交通費1,500円を小口現金から支払ったとき:
借方:旅費交通費 1,500円 / 貸方:小口現金 1,500円
(説明:交通費として経費を記録し、小口現金からの支出を記録します)
消耗品を小口現金で購入した場合
事務用品を小口現金で2,000円購入したとき:
借方:消耗品費 2,000円 / 貸方:小口現金 2,000円
(説明:消耗品の購入費用を記録し、小口現金の支出を反映します)
郵送費を小口現金で支払った場合
郵送費500円を小口現金で支払ったとき:
借方:通信費 500円 / 貸方:小口現金 500円
(説明:郵送費として通信費勘定に記録し、小口現金を減少させます)
小口現金の補給
週末に小口現金を確認し、前回から4,000円が使用されたため、現金から4,000円を補充し、元の20,000円に戻すとき:
借方:小口現金 4,000円 / 貸方:現金 4,000円
(説明:小口現金を補充し、残高を再設定します)
小口現金の残高と帳簿の差異が発生した場合
照合時に帳簿の残高と実際の小口現金残高に500円の差異があり、原因不明である場合:
借方:雑損失 500円 / 貸方:小口現金 500円
(説明:差異が発生したため、雑損失として記録し、小口現金を減少させます)
著者 / Tommy Ikura
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