勘定科目「リース資産」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「リース資産」(読み仮名:りーすしさん、分類:有形固定資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
リース資産とは
「リース資産」とは、企業がリース契約に基づき他社から借り受け、使用する資産を指す勘定科目です。リース取引には、リース物件の所有権が移転しない「オペレーティング・リース」と、リース終了後に企業が所有権を得る可能性がある「ファイナンス・リース(資本的リース)」の2種類があります。このうち、ファイナンス・リース契約に基づく資産は、会計上「リース資産」として貸借対照表に計上され、リース料支払いに関わらず企業の資産として扱われます。
ファイナンス・リース資産は、リース契約期間が終了するまでの間、借主がその資産を使用することを前提に、資産の取得と同様に取り扱います。リース資産の取得原価にはリース契約に基づく支払総額(リース料の総額)や初期費用が含まれ、企業はこれをリース期間にわたって減価償却し、リース期間の経過に応じて費用として計上します。こうすることで、リース資産がもたらす利益やコストが企業の財務状況に反映され、経営に関する意思決定がより正確に行えます。
リース資産はどのような時に使用されるのか
リース資産は、以下のようなケースで使用されます。
- 資本的支出を抑えた設備投資のため
ファイナンス・リースにより資産を取得することで、企業は大量の初期費用を避け、設備投資が可能になります。高額な機械装置やIT機器など、短期の使用目的に適した資産を確保できます。 - 長期使用を前提とした設備や機械の導入
リース資産は、長期にわたる使用が見込まれる設備や機械の導入にも適しており、期間満了時には所有権が移転するか、引き続き使用できる契約も可能です。これにより、企業は安定した設備稼働が実現できます。 - 事務所や工場での重要機器の導入
コピー機やプリンター、事務所内のIT機器、工場の大型機械などがリース契約で導入されることが多いです。これらは長期間使用するため、資産計上され、減価償却を通じて費用化されます。 - 財務の安定化やキャッシュフロー管理のため
リース契約を通じて資産を確保することで、一括購入に伴うキャッシュアウトフローを回避し、定期的なリース料の支払いによりキャッシュフローを安定化させることができます。
リース資産は、企業が一定の使用期間を前提に借り入れた資産であり、経営資源の有効利用に役立ちます。特に、資金を効率的に活用する手段として多くの企業で取り入れられています。
リース資産の仕分例
「リース資産」を使った具体的な仕分例です。
リース契約で事務所用のコピー機を取得した
リース契約で事務所用のコピー機を取得し、リース資産の取得原価を500,000円とした場合:
借方:リース資産 500,000円 / 貸方:リース債務 500,000円
(説明:コピー機をリース契約で取得し、リース資産として計上しました)
リース資産の初年度の減価償却費を計上した
リース資産の初年度の減価償却費として100,000円を計上した場合:
借方:減価償却費 100,000円 / 貸方:リース資産減価償却累計額 100,000円
(説明:リース資産の減価償却費を計上しました)
リース契約で導入した機械のリース料を現金で支払った
リース契約で導入した機械のリース料20,000円を現金で支払った場合:
借方:リース債務 20,000円 / 貸方:現金 20,000円
(説明:リース契約に基づく機械のリース料を現金で支払いました)
リース資産のリース料支払い利息を計上した
リース資産のリース料支払い利息として5,000円を計上した場合:
借方:支払利息 5,000円 / 貸方:現金 5,000円
(説明:リース資産のリース料に含まれる利息分を支払利息として計上しました)
リース資産の取得にかかる初期設置費用を現金で支払った
リース資産の取得にかかる初期設置費用50,000円を現金で支払った場合:
借方:リース資産 50,000円 / 貸方:現金 50,000円
(説明:リース資産の設置費用をリース資産に加えました)
リース資産(機械)の減価償却費として毎期計上する
リース資産(機械)の減価償却費として毎期30,000円を計上する場合:
借方:減価償却費 30,000円 / 貸方:リース資産減価償却累計額 30,000円
(説明:リース資産の減価償却費を毎期計上しました)
著者 / Tommy Ikura
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