勘定科目「社債発行費」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「社債発行費」(読み仮名:しゃさいはっこうひ、分類:繰延資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
社債発行費とは
「社債発行費」は、企業が資金調達のために社債(債券)を発行する際に発生する諸費用を指す勘定科目です。社債発行費には、証券会社や金融機関に支払う手数料、印刷費、社債の引受手数料、弁護士費用、会計士の報酬、発行に伴う宣伝・広告費などが含まれます。これらの費用は、資金を調達するための初期投資として必要な支出であり、社債発行によって得られる将来の資金収益をサポートする役割を持っています。
社債発行費は、会計上「繰延資産」に分類されます。これは、社債発行に伴う費用が発行した年だけでなく、社債の償還期間全体にわたって企業の資金調達に貢献するとみなされるためです。社債発行費は通常、社債の償還期間に応じて定額法で償却され、毎期にわたって費用化されます。このように、社債発行費を複数年にわたって償却することで、企業は資金調達コストを均等に計上し、財務状況を安定させることができます。
社債発行費はどのような時に使用されるのか
社債発行費は、以下のようなケースで使用されます。
- 社債発行に伴う証券会社や金融機関の手数料の支払い
企業が社債を発行する際、証券会社や金融機関に対して手数料を支払う必要があります。この手数料は、社債発行の手続きや市場での流通をサポートするために支払われ、社債発行費として計上されます。 - 社債引受に関する手数料の支払い
社債発行の際に、社債を引き受ける証券会社や金融機関に対して引受手数料が発生します。これは、企業がスムーズに資金調達を行うために必要な費用です。 - 社債発行に関わる法的手続き費用や専門家報酬
社債発行にあたり、法的な手続きや契約書の作成に関連して弁護士や会計士への報酬が発生する場合があります。これらの専門家への支払いも社債発行費に含まれます。 - 社債発行の宣伝・広告費用
社債を発行して資金調達を行うために、企業は発行に伴う広告や広報活動を行うことがあります。この際にかかる宣伝・広告費も社債発行費に含まれます。
社債発行費は、企業が資金を調達し、事業活動や投資計画を実行するための初期投資として重要な役割を果たします。この勘定科目により、企業は社債発行のコストを複数年に分散し、財務の健全性を保つことができます。
社債発行費の仕分例
「社債発行費」を使った具体的な仕分例です。
社債発行のために証券会社へ手数料を支払い、普通預金から振り込んだ
社債発行のために証券会社へ手数料100,000円を支払い、普通預金から振り込んだ場合:
借方:社債発行費 100,000円 / 貸方:普通預金 100,000円
(説明:社債発行の手数料を証券会社に支払い、社債発行費として計上しました)
社債発行に伴う引受手数料を現金で支払った
社債発行に伴う引受手数料200,000円を現金で支払った場合:
借方:社債発行費 200,000円 / 貸方:現金 200,000円
(説明:社債引受手数料を支払い、社債発行費として計上しました)
社債発行に関する広告費用を現金で支払った
社債発行に関する広告費用50,000円を現金で支払った場合:
借方:社債発行費 50,000円 / 貸方:現金 50,000円
(説明:社債発行に関する広告費用を社債発行費として計上しました)
社債発行に関する契約書作成にかかる弁護士報酬を普通預金から支払った
社債発行に関する契約書作成にかかる弁護士報酬として80,000円を普通預金から支払った場合:
借方:社債発行費 80,000円 / 貸方:普通預金 80,000円
(説明:弁護士報酬を社債発行費として計上しました)
社債発行費償却を計上した
社債発行費償却として年間20,000円を計上した場合:
借方:社債発行費償却 20,000円 / 貸方:社債発行費 20,000円
(説明:社債発行費を償却し、費用として計上しました)
著者 / Tommy Ikura
毎日の暮らしの中で役立つ情報や、趣味に関するコンテンツを分かりやすく解説するサイトを製作しています。