勘定科目「仕掛品」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「仕掛品」(読み仮名：しかかりひん、分類：流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

仕掛品とは

「仕掛品」とは、製造業において、製品として完成する前の製造過程にある未完成品を指します。製造工程の途中にあり、最終的な完成品になるまでには、さらに加工が必要な状態の在庫品です。仕掛品は製造原価（材料費、労務費、製造間接費など）が投入されていますが、まだ「製品」として販売可能な状態には至っていないため、「仕掛品」として区分され、貸借対照表の資産の部に計上されます。

製造業においては、材料が生産工程を経て、仕掛品を経由し、最終的に製品となります。企業は、仕掛品としてのコストを適切に管理することで、製品原価を正確に把握し、利益を計算することが可能になります。仕掛品の評価は、期末棚卸資産の評価として重要であり、適切な評価と管理が求められます。

仕掛品はどのような時に使用されるのか

仕掛品が使用されるのは、以下のような場合です。

• 製造工程での途中経過の記録
  製造業において、原材料が生産工程に投入され、まだ完成していない段階の製品が「仕掛品」として計上されます。これにより、製造途中の在庫の価値が可視化され、工程ごとのコスト管理が容易になります。
• 製造原価の計算
  仕掛品は製造原価の計算に重要な役割を果たします。期末の仕掛品在庫が多ければ、その分だけ製造原価は下がり、少なければ製造原価が上がるため、正確な仕掛品の管理が製造コストの正確な把握に必要です。
• 原価計算と財務諸表の精度向上
  製造業では、製造途中の在庫も資産としてカウントされるため、仕掛品勘定を用いることで、財務諸表における資産の評価がより正確になります。
• 収益管理と生産計画
  仕掛品の量や価値を把握することで、生産計画の調整や収益管理が行いやすくなります。仕掛品の在庫が増えすぎると、キャッシュフローに悪影響を与えるため、在庫管理の観点からも仕掛品の適切な管理が必要です。

仕掛品の仕分例

「仕掛品」を使った具体的な仕分例です。

原材料費を仕掛品に振り替えた

原材料費30,000円を仕掛品に振り替えた場合：

借方：仕掛品 30,000円 / 貸方：原材料 30,000円

直接労務費を仕掛品に計上した

直接労務費50,000円を仕掛品に計上した場合：

借方：仕掛品 50,000円 / 貸方：賃金 50,000円

製造間接費を仕掛品に配賦した

製造間接費20,000円を仕掛品に配賦した場合：

借方：仕掛品 20,000円 / 貸方：製造間接費 20,000円

製品が完成し、仕掛品から製品に振り替えた

製品が完成し、仕掛品から製品に振り替えた場合（80,000円）：

借方：製品 80,000円 / 貸方：仕掛品 80,000円

期末において、仕掛品の在庫評価を行い、仕掛品の調整を行った

期末において、仕掛品の在庫評価を60,000円とし、仕掛品の調整を行った場合：

借方：棚卸減耗損 10,000円 / 貸方：仕掛品 10,000円

直接材料費として仕掛品に追加計上

直接材料費として仕掛品に追加計上した（40,000円）：

借方：仕掛品 40,000円 / 貸方：原材料 40,000円

著者 / Tommy Ikura

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