勘定科目「商品」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「商品」(読み仮名:しょうひん、分類:流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
商品とは
勘定科目の「商品」とは、企業が販売目的で保有している物品や製品を指します。これは、製造業や販売業、小売業などにおいて、消費者や取引先に販売するために購入したものや、製造したものが含まれます。商品は企業にとって収益の源であり、販売することで売上を得るため、企業活動において重要な資産です。
会計上、「商品」は流動資産として貸借対照表(バランスシート)に計上されます。また、商品の在庫管理は、企業の収益性や効率性に大きく影響を与えるため、適切な在庫管理と会計処理が重要です。商品の評価には、例えば「先入先出法」「後入先出法」「移動平均法」などの方法があります。これにより、商品の販売価格や仕入れ原価を正確に計上し、企業の利益計算や資産評価に反映させることができます。会計基準に基づいて商品在庫の価値を正しく評価しなければならないため、商品の管理と帳簿上の記録が重要です。
また、販売されなかった商品については、一定の期間ごとにその価値が見直され、場合によっては減価処理や棚卸減耗損としての評価が行われることもあります。特に、季節商品や流行に左右される商品は、その価値が大きく変動するため、正確な棚卸しと在庫管理が必要です。
商品はどのような時に使用されるのか
「商品」は、企業が販売活動を行うために必須の勘定科目であり、次のような場面で使用されます。
- 仕入れ時
商品を仕入れた際に、仕入金額が「商品」勘定に記録されます。この仕訳によって、企業の在庫としての資産が増加します。仕入れは商品在庫の一環として管理され、将来的に販売されることが期待されるため、貸借対照表に資産として計上されます。 - 販売時
商品が顧客に販売されると、その分の収益が「売上」勘定に計上され、同時に商品在庫が減少します。また、販売に伴う商品の原価は「売上原価」として費用計上され、利益計算に影響を与えます。 - 返品時
顧客が購入した商品を返品した場合、返品された商品は「商品」勘定に戻され、対応する売上金額も減額されます。 - 棚卸時
期末などの決算期に商品在庫の棚卸しを行い、実際の在庫数と帳簿上の残高を比較して、差異があれば調整を行います。この際、価値が減少した在庫は減価処理が行われ、適正な商品評価が行われます。
商品勘定は、販売、仕入れ、返品、棚卸しなど、商品に関連する取引の際に必ず使用され、企業の収益や財務状況を反映するために重要な役割を果たします。
商品の仕分例
「商品」を使った具体的な仕分例です。
商品の仕入れ
商品を50,000円分現金で仕入れた場合:
借方:商品 50,000円 / 貸方:現金 50,000円
(説明:商品を仕入れ、資産として商品勘定に計上し、現金の減少を記録します)
商品の販売
商品100,000円分を販売し、代金を現金で受け取った場合:
借方:現金 100,000円 / 貸方:売上 100,000円
(説明:商品の販売により売上を計上し、現金の増加を記録します)
また、販売した商品の原価が60,000円だった場合、以下の仕訳も同時に行います:
借方:売上原価 60,000円 / 貸方:商品 60,000円
(説明:販売による商品の減少を売上原価として計上し、在庫を減少させます)
返品された商品の処理
50,000円で販売した商品が返品され、代金を現金で返金した場合:
借方:売上返品 50,000円 / 貸方:現金 50,000円
(説明:返品によって売上が取り消され、現金が減少します)
また、返品された商品の原価が30,000円だった場合、以下の仕訳も行います:
借方:商品 30,000円 / 貸方:売上原価 30,000円
(説明:返品された商品の在庫を回復し、売上原価を減少させます)
期末棚卸調整
期末棚卸で商品が5,000円減少していることが判明した場合:
借方:棚卸減耗損 5,000円 / 貸方:商品 5,000円
(説明:棚卸しにより商品数が減少していたため、棚卸減耗損として計上し、商品勘定を減少させます)
商品の値下げ販売
在庫商品を50,000円の価格で販売し、代金を現金で受け取ったが、原価が70,000円だった場合:
借方:現金 50,000円 / 貸方:売上 50,000円
(説明:販売額を売上として記録し、現金の増加を計上します)
また、原価との差額を計上するため以下の仕訳も行います:
借方:売上原価 70,000円 / 貸方:商品 70,000円
(説明:商品の減少を売上原価に計上し、在庫を減少させます)
著者 / Tommy Ikura
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