勘定科目「短期貸付金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「短期貸付金」(読み仮名:たんきかしつけきん、分類:流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
短期貸付金とは
「短期貸付金」とは、企業が取引先や関係会社、または従業員などに対して、1年以内の返済期限で貸し付けた資金を指す勘定科目です。貸借対照表上では流動資産に分類され、一般的には運転資金の融通や一時的な資金調達のサポートを目的としています。貸付金には利息が付くことが多く、貸付先からの利息収入を得ることが期待されます。
短期貸付金は、企業が余剰資金の一部を有効に運用する手段としても利用されることがあります。例えば、短期間で現金化が可能な投資案件に対して、取引先に資金を貸し付けたり、運転資金が不足している関係会社を一時的に支援するための貸付を行うケースがあります。短期貸付金の会計処理では、貸付金の貸付日、返済日、利率などの情報を管理し、貸付期間中は資産として計上され、返済が完了した時点で帳簿から除去されます。
短期貸付金はどのような時に使用されるのか
短期貸付金が使用されるのは、企業が取引先や関係会社の一時的な資金需要に対応する場合や、運転資金を支援する際です。具体的には、以下のような状況で短期貸付金が使用されます:
- 取引先の資金サポート
企業が取引先との長期的な取引関係を維持したい場合、取引先の資金が一時的に不足しているときに短期貸付金として資金を提供することで、取引関係の継続を支援します。これにより、相手企業の運転資金を支えることができ、取引の円滑化が図られます。 - 関係会社の資金調達支援
企業グループ内で関係会社が一時的に資金不足に陥った場合、親会社や関連会社が短期貸付金を通じて資金を貸し付けることがあります。これにより、企業グループ全体の経営安定をサポートし、迅速な資金調達を実現します。 - 余剰資金の運用
企業が余剰資金を活用して一時的な利益を得たい場合、金利収入を目的に短期貸付金として資金を運用することがあります。これは、企業にとって余剰資金を預金するよりも高い利率での運用が可能な場合に有効です。例えば、低リスクの債券に投資するのと同様に、安全性の高い貸付先に貸し付けを行い、利息収入を得ることが期待されます。 - 従業員への福利厚生の一環
企業は、従業員に対して緊急の資金需要に対応するため、短期貸付金を提供することもあります。従業員の生活安定を支援し、福利厚生の一環として利用されます。このようなケースでは、低利率もしくは無利息で貸し付けが行われることもあります。
短期貸付金の管理においては、貸付先の返済能力や返済期限の管理が重要です。万が一返済が滞るリスクが発生した場合には、貸倒引当金を設定し、財務リスクを抑える措置が取られます。
短期貸付金の仕分例
「短期貸付金」を使った具体的な仕分例です。
取引先に100,000円を短期貸付金として貸し付けた場合
取引先に100,000円を短期貸付金として貸し付けたとき:
借方:短期貸付金 100,000円 / 貸方:現金 100,000円
(説明:取引先に対して短期貸付金を提供し、現金の減少を記録します)
短期貸付金に対する利息収入を受け取った場合
貸付金の利息として2,000円を現金で受け取ったとき:
借方:現金 2,000円 / 貸方:受取利息 2,000円
(説明:短期貸付金に対する利息収入を現金で受け取り、受取利息として計上します)
貸付金が返済された場合(元金の回収)
取引先が短期貸付金100,000円を現金で返済したとき:
借方:現金 100,000円 / 貸方:短期貸付金 100,000円
(説明:取引先から貸付金が返済され、現金の増加を記録します)
貸付金の一部が回収不能となり貸倒損失を計上する場合
短期貸付金のうち20,000円が回収不能となり、貸倒損失として処理する場合:
借方:貸倒損失 20,000円 / 貸方:短期貸付金 20,000円
(説明:貸付金の一部が回収不能と判明したため、貸倒損失として計上します)
従業員に対する短期貸付金の提供
従業員に対し、緊急資金として短期貸付金30,000円を提供した場合:
借方:短期貸付金 30,000円 / 貸方:現金 30,000円
(説明:従業員に短期貸付金を提供し、資産として計上します)
従業員が短期貸付金を返済した場合
貸付金30,000円を従業員が返済したとき:
借方:現金 30,000円 / 貸方:短期貸付金 30,000円
(説明:従業員からの貸付金返済を受け取り、現金の増加と貸付金の減少を記録します)
著者 / Tommy Ikura
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