勘定科目「建物」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「建物」(読み仮名:たてもの、分類:有形固定資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
建物とは
「建物」は、企業が所有する不動産のうち、事業活動に使用される建築物を指す勘定科目です。これは、企業の本社ビル、店舗、工場、倉庫など、事業運営に直接必要な建物や付属施設が含まれます。建物は、企業が長期にわたって保有し、使用する資産であるため、貸借対照表の固定資産に分類されます。一般に、建物の取得には大きな費用がかかるため、一括で費用計上するのではなく「減価償却」によって、数年間にわたりその費用を分割して計上します。これにより、資産の使用に伴う経済的価値の減少が反映され、企業の財務状態が正確に表示されます。
建物の取得原価には、購入代金だけでなく、購入時にかかる付随費用(登記費用、不動産仲介手数料、建築費など)も含まれます。また、建物の維持や修繕にかかる費用は「修繕費」や「資本的支出」として別途処理され、資産価値が向上する大規模な修繕や増築費用は建物の取得原価に加算されます。
建物はどのような時に使用されるのか
建物は、以下のようなケースで使用されます。
- 事業活動の拠点としての使用
建物は企業の本社や支社、店舗、工場など、事業の活動拠点として使用されます。企業の活動に直接必要なインフラであり、長期間使用するため、固定資産として計上されます。 - 収益を得るための賃貸物件
他者に貸し出して収益を得るために保有する建物も勘定科目「建物」として計上されます。この場合、賃貸収益を得る目的で保有され、維持管理費用も発生するため、安定的な収入源として管理されます。 - 資産価値の増加や価値の維持のためのリフォームや改修
長期間使用する建物の資産価値を維持または向上させるために、修繕や増築が行われることがあります。この場合、価値を増加させる工事費用は建物の取得原価に加算され、固定資産として計上されます。 - 減価償却による費用計上
建物は、年々その価値が減少するため、減価償却により毎年一定額が費用として計上されます。これにより、建物の使用に伴う価値の減少を企業の財務状況に反映し、資産の実態が正確に把握されます。
建物は、企業にとって重要な資産であり、事業活動に必要不可欠です。取得後も適切な維持管理や修繕が必要であり、また、減価償却によって資産価値が段階的に反映されるため、企業は定期的な評価と管理を行い、財務の透明性を確保します。
建物の仕分例
「建物」を使った具体的な仕分例です。
建物を現金で購入した
建物を現金で5,000,000円で購入した場合:
借方:建物 5,000,000円 / 貸方:現金 5,000,000円
(説明:事業活動に使用するため、建物を現金で購入しました)
建物を銀行借入で購入した
建物を銀行借入で8,000,000円で購入した場合:
借方:建物 8,000,000円 / 貸方:長期借入金 8,000,000円
(説明:建物を購入し、資金は銀行借入によって調達しました)
購入した建物にかかる登記費用を現金で支払った
購入した建物にかかる登記費用100,000円を現金で支払った場合:
借方:建物 100,000円 / 貸方:現金 100,000円
(説明:建物の取得に伴う登記費用を支払いました)
建物の減価償却費を計上した
建物の減価償却費として200,000円を計上した場合:
借方:減価償却費 200,000円 / 貸方:建物減価償却累計額 200,000円
(説明:期末における建物の減価償却費を計上しました)
事業用建物の修繕費を現金で支払った
事業用建物の修繕費300,000円を現金で支払った場合:
借方:修繕費 300,000円 / 貸方:現金 300,000円
(説明:建物の修繕費用を支払いました)
建物の大規模な改修を行い現金で支払った(資産価値の向上として資本的支出に該当)
建物の大規模な改修を行い、1,500,000円を現金で支払った場合:
借方:建物 1,500,000円 / 貸方:現金 1,500,000円
(説明:建物の価値を向上させるための改修費用を建物の原価に加えました)
建物購入のための不動産手数料を現金で支払った
建物購入のための不動産手数料200,000円を現金で支払った場合:
借方:建物 200,000円 / 貸方:現金 200,000円
(説明:建物の取得に関する不動産手数料を建物の取得原価に加えました)
著者 / Tommy Ikura
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