勘定科目「法人税等調整額」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「法人税等調整額」(読み仮名：ほうじんぜいとうちょうせいがく、分類：法人税、住民税及び事業税等)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

法人税等調整額とは

「法人税等調整額」とは、企業の法人税負担額を調整するために使用される勘定科目です。法人税等調整額は、税効果会計の一環として計上されるもので、会計上の利益と課税所得（税務上の利益）の違いによって生じる法人税等の調整を目的としています。税効果会計は、企業の会計上の利益と税務上の所得に差がある場合に、将来の税負担を見越して現時点で適正に税金の負担額を反映させる手法です。

この法人税等調整額は、繰延税金資産や繰延税金負債と関係しており、課税所得の違いが将来にわたって解消されることが見込まれる際に計上されます。例えば、減価償却費の会計処理と税務処理が異なる場合、将来にわたって税金の負担に差が生じます。このような場合に、法人税等調整額を利用して税金の負担額を調整し、正確な財務状況を報告します。

法人税等調整額はどのような時に使用されるのか

法人税等調整額は、以下のようなケースで使用されます。

• 会計上の利益と課税所得の一時的な差異の調整
  会計基準に基づいて計上される利益と、税法に基づいて算出される課税所得が異なる場合、その差異が一時的であれば、将来の税負担を見越して法人税等調整額を計上します。
• 繰延税金資産や繰延税金負債の増減
  繰延税金資産や繰延税金負債の残高に変動が生じた場合、その調整額を法人税等調整額として計上し、正確な税負担額を反映します。
• 税効果会計に基づく法人税等の調整
  税効果会計では、将来に渡る税負担を事前に調整するため、法人税等調整額を計上します。この処理により、企業の利益に対する税金負担の変動を平準化することができます。
• 将来の税負担見積もりの変更
  税制改正や経営環境の変化により将来の税負担見積もりが変わる場合も、法人税等調整額が使用されます。

法人税等調整額の仕分例

「法人税等調整額」を使った具体的な仕分例です。

税効果会計に基づき、法人税等調整額を計上し、繰延税金負債を増加させる

税効果会計に基づき、法人税等調整額30,000円を計上し、繰延税金負債を増加させる場合：

借方：法人税等調整額 30,000円 / 貸方：繰延税金負債 30,000円

会計上の利益に対する一時的差異が生じ、法人税等調整額を繰延税金資産として計上する

会計上の利益に対する一時的差異が生じ、法人税等調整額50,000円を繰延税金資産として計上する場合：

借方：繰延税金資産 50,000円 / 貸方：法人税等調整額 50,000円

将来の税負担見積もり変更に伴い、法人税等調整額を繰延税金資産として計上する

将来の税負担見積もり変更に伴い、法人税等調整額20,000円を繰延税金資産として計上する場合：

借方：繰延税金資産 20,000円 / 貸方：法人税等調整額 20,000円

一時的差異の発生により法人税等調整額を繰延税金負債に計上する

一時的差異の発生により法人税等調整額15,000円を繰延税金負債に計上する場合：

借方：法人税等調整額 15,000円 / 貸方：繰延税金負債 15,000円

税効果会計の適用により、法人税等調整額を繰延税金負債に計上する

税効果会計の適用により、法人税等調整額60,000円を繰延税金負債に計上する：

借方：法人税等調整額 60,000円 / 貸方：繰延税金負債 60,000円

繰延税金資産の増加を反映し、法人税等調整額円を計上する

繰延税金資産の増加を反映し、法人税等調整額40,000円を計上する：

借方：繰延税金資産 40,000円 / 貸方：法人税等調整額 40,000円

著者 / Tommy Ikura

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