勘定科目「貸倒引当金繰入額」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「貸倒引当金繰入額」(読み仮名:かしだおれひきあてきんくりいれがく、分類:販管費)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

貸倒引当金繰入額とは

「貸倒引当金繰入額」は、企業が保有する債権(売掛金や受取手形など)が貸倒れとなるリスクに備えるために計上する費用です。貸倒引当金とは、将来発生する可能性がある貸倒損失に備えて積み立てられる準備金であり、貸倒引当金繰入額はその年度ごとの積立分を意味します。債権が確実に回収できるとは限らず、取引先の倒産や経営悪化によって回収が不可能になるケースがあるため、貸倒引当金を設定することで、貸倒損失を事前に見積もり、財務状況をより正確に反映させます。

貸倒引当金の計上方法には、過去の貸倒実績や各債権の状況などに基づいて貸倒リスクを見積もる「個別評価法」や「一括評価法」があります。一般的には、期末時点の売掛金や受取手形の残高に一定の割合をかけて算出する方法が多く、貸倒引当金繰入額としてその金額を費用計上します。

貸倒引当金の繰入れは、企業の損益計算書上の費用として計上され、貸倒引当金という負債の一部として貸借対照表に表示されます。貸倒引当金繰入額を計上することで、貸倒リスクが反映され、万が一の損失発生に備えた財務体質の強化に役立ちます。また、税務上も一定の条件を満たせば損金として認められます。

貸倒引当金繰入額はどのような時に使用されるのか

貸倒引当金繰入額は、以下のようなケースで使用されます。

貸倒引当金繰入額の仕分例

「貸倒引当金繰入額」を使った具体的な仕分例です。

売掛金に対し貸倒引当金繰入額を計上する

売掛金100万円に対し、2%の貸倒引当金繰入額20,000円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 20,000円 / 貸方:貸倒引当金 20,000円

(説明:売掛金の貸倒リスクに備えて貸倒引当金を計上しました)

取引先の経営悪化を受け、受取手形に対して貸倒引当金繰入額を計上する

取引先の経営悪化を受け、受取手形50万円に対して3%の貸倒引当金繰入額15,000円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 15,000円 / 貸方:貸倒引当金 15,000円

(説明:受取手形に対する貸倒引当金を計上しました)

期末決算において、売掛金に対し貸倒引当金繰入額を計上する

期末決算において、売掛金の合計額150万円に対し、1.5%の貸倒引当金繰入額22,500円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 22,500円 / 貸方:貸倒引当金 22,500円

(説明:期末の売掛金に対する貸倒引当金を計上しました)

新規取引先の債権回収リスクを考慮し、売掛金に対して貸倒引当金繰入額を計上する

新規取引先の債権回収リスクを考慮し、売掛金200万円に対して1%の貸倒引当金繰入額20,000円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 20,000円 / 貸方:貸倒引当金 20,000円

(説明:新規取引先の売掛金に対する貸倒引当金を計上しました)

急増した債権リスクに備え、売掛金に対し貸倒引当金繰入額を計上する

急増した債権リスクに備え、売掛金300万円に対し、0.5%の貸倒引当金繰入額15,000円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 15,000円 / 貸方:貸倒引当金 15,000円

(説明:売掛金の急増に対する貸倒引当金を計上しました)

取引先の信用リスクの増加を反映し、受取手形に対して貸倒引当金繰入額を計上する

取引先の信用リスクの増加を反映し、受取手形80万円に対して2.5%の貸倒引当金繰入額20,000円を計上する場合:

借方:貸倒引当金繰入額 20,000円 / 貸方:貸倒引当金 20,000円

(説明:信用リスク増加に伴う貸倒引当金を計上しました)

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著者 / Tommy Ikura

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