勘定科目「固定資産除去損」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「固定資産除去損」(読み仮名:こていしさんじょきょそん、分類:特別損失)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

固定資産除去損とは

「固定資産除去損」とは、企業が所有している固定資産を除去または廃棄した際に、その資産の帳簿価額(簿価)を処分できず損失として計上する勘定科目です。固定資産は通常、長期間にわたり使用される設備や建物、機械などであり、減価償却によって段階的に価値が減少しますが、除去時点でまだ帳簿価額が残っている場合、その未償却残高が「固定資産除去損」として計上されます。この損失は、企業の営業活動に伴う通常の損失とは異なり、資産の除去に伴う一時的な費用として扱われます。

固定資産除去損は、固定資産の除去や廃棄が必要になった際に発生します。例えば、老朽化した建物を解体する場合や、新しい設備に更新するために既存の設備を廃棄する場合、除去または廃棄時点での未償却残高が除去損として計上されます。企業にとって、固定資産除去損は利益を圧迫する要因となりますが、適切な会計処理を行うことで財務状況の正確な把握が可能になります。

固定資産除去損はどのような時に使用されるのか

固定資産除去損は、以下のようなケースで使用されます。

固定資産除去損の仕分例

「固定資産除去損」を使った具体的な仕分例です。

取得原価 X円、減価償却累計額 Y円の設備を除去した際、未償却残高 Z円が除去損となった

取得原価1,000,000円、減価償却累計額700,000円の設備を除去した際、未償却残高300,000円が除去損となる場合:

借方:固定資産除去損 300,000円 / 貸方:設備 1,000,000円
借方:減価償却累計額 700,000円

(説明:設備を除去し、未償却残高を固定資産除去損として計上しました)

取得原価 X円、減価償却累計額 Y円の機械を除去し、未償却残高 Z円が発生した

取得原価800,000円、減価償却累計額600,000円の機械を除去し、未償却残高200,000円が発生した場合:

借方:固定資産除去損 200,000円 / 貸方:機械 800,000円
借方:減価償却累計額 600,000円

(説明:機械を除去し、未償却残高を除去損として処理しました)

取得原価 X円、減価償却累計額 Y円の建物を取り壊し、未償却残高 Z円が損失として計上された

取得原価1,500,000円、減価償却累計額1,200,000円の建物を取り壊し、未償却残高300,000円が損失として計上される場合合:

借方:固定資産除去損 300,000円 / 貸方:建物 1,500,000円
借方:減価償却累計額 1,200,000円

(説明:建物を取り壊し、未償却残高を固定資産除去損として計上しました)

取得原価 X円、減価償却累計額 Y円の車両を除去し、未償却残高 Z円を除去損として計上した

取得原価900,000円、減価償却累計額500,000円の車両を除去し、未償却残高400,000円を除去損として計上する場合:

借方:固定資産除去損 400,000円 / 貸方:車両運搬具 900,000円
借方:減価償却累計額 500,000円

(説明:車両を除去し、残存価額を固定資産除去損として処理しました)

取得原価 X円、減価償却累計額 Y円の建物が災害で破損し、未償却残高 Z円が除去損となった

取得原価2,000,000円、減価償却累計額1,600,000円の建物が災害で破損し、未償却残高400,000円が除去損となる場合:

借方:固定資産除去損 400,000円 / 貸方:建物 2,000,000円
借方:減価償却累計額 1,600,000円

(説明:災害による建物の破損で除去損が発生し、未償却残高を処理しました)

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著者 / Tommy Ikura

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