勘定科目「専従者給与」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「専従者給与」(読み仮名:せんじゅうしゃきゅうよ、分類:販管費)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
専従者給与とは
「専従者給与」とは、個人事業主が事業に従事している家族に対して支払う給与のことです。専従者給与は、事業主の配偶者や子どもなど、生活を共にしている家族で、その事業に従事している者(専従者)に対する報酬を指します。所得税法では、専従者への給与を適切に経費として処理することが認められており、家族への給与も事業の必要経費として計上できます。ただし、専従者給与として経費計上するためには、一定の条件を満たす必要があります。
専従者給与の経費としての計上要件は以下の通りです。
- 青色申告をしていること
青色申告を行う事業主が専従者給与を経費計上できます。事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、給与の支給額などを申告しておく必要があります。 - 専従者が家族であり、生活を共にしていること
専従者給与の対象は、配偶者や親族で、かつ事業主と生活を共にしている家族でなければなりません。 - 月に一定の労働時間を事業に従事していること
専従者がその事業に専ら従事していることが求められます。パートやアルバイトなどで他の仕事をしている場合は、専従者として認められないことがあるため注意が必要です。 - 適切な給与水準で支払われていること
支給する給与が、専従者の労働内容に対して不当に高額であったり、不規則な支払いであったりする場合、経費として認められないことがあります。
専従者給与は経費として認められれば、個人事業主の所得から控除されるため、節税効果が期待できます。ただし、要件を満たさない場合や事前の届出がない場合は経費として認められないため、注意が必要です。
専従者給与はどのような時に使用されるのか
専従者給与は、以下のようなケースで使用されます。
- 事業に従事する家族への給与支給
個人事業主が配偶者や親族に対して、事業に従事した分の報酬を支払う場合、専従者給与を使用します。この給与支払いが経費として認められることで、所得税の課税所得が減少します。 - 事業の経費として家族の労働力を活用する場合
個人事業主が家族を事業に参画させ、その労働力を経費として計上する場合に専従者給与が適用されます。これにより、家族の生活費や学費、生活費の一部を給与として経費化できます。 - 税務申告における経費計上時
専従者給与は青色申告の際に経費として計上され、所得税計算の対象から控除されます。このため、節税対策として利用されることが多いです。
専従者給与の仕分例
「専従者給与」を使った具体的な仕分例です。
専従者である配偶者に給与を支給した
専従者である配偶者に月額200,000円を給与として支給した場合:
借方:専従者給与 200,000円 / 貸方:現金 200,000円
(説明:配偶者に対して専従者給与を現金で支払いました)
専従者である長男に給与を支給し、銀行口座から振り込んだ
専従者である長男に100,000円を給与として支給し、銀行口座から振り込んだ場合:
借方:専従者給与 100,000円 / 貸方:普通預金 100,000円
(説明:専従者である長男に給与を振り込みました)
専従者である配偶者に3ヶ月分の給与をまとめて支給した
専従者である配偶者に3ヶ月分の給与600,000円をまとめて支給した場合:
借方:専従者給与 600,000円 / 貸方:現金 600,000円
(説明:配偶者に専従者給与を3か月分まとめて支払いました)
専従者である親族に給与を支払い、給与の支払いを未払計上する
専従者である親族に50,000円の給与を支払い、給与の支払いを未払計上する場合:
借方:専従者給与 50,000円 / 貸方:未払金 50,000円
(説明:専従者に対する給与を未払計上しました)
専従者である次男に給与を支払い、現金で支給した
専従者である次男に150,000円の給与を支払い、現金で支給した場合:
借方:専従者給与 150,000円 / 貸方:現金 150,000円
(説明:次男に対して現金で専従者給与を支払いました)
著者 / Tommy Ikura
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