勘定科目「支払保険料」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「支払保険料」(読み仮名:しはらいほけんりょう、分類:販管費)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
支払保険料とは
「支払保険料」は、企業が所有する資産や従業員、業務活動の安全を確保するために契約している保険の費用を計上するための勘定科目です。企業は、様々なリスクに備えて各種保険契約を結び、事故や災害、健康問題、業務上の賠償責任などに対応するために保険料を支払います。支払保険料は、日常の経営リスクを減らし、突発的な損失をカバーするための重要な経費です。
支払保険料には、以下のような種類の保険が含まれます。
- 火災保険:建物や設備、製品などが火災や自然災害に遭った際の損失をカバーする保険。
- 車両保険:業務で使用する車両が事故や盗難に遭った際に補償を受けるための保険。
- 賠償責任保険:製品や業務が原因で第三者に損害を与えた場合の賠償責任に備える保険。
- 労災保険や健康保険:従業員の健康維持や労働災害に備えるための保険で、福利厚生としても重要。
- 生命保険・役員保険:役員や社員が万一の場合に備えるための保険。特に、重要な人材を守るために役員保険を契約することが多いです。
支払保険料は、企業が安全で安定的な経営を行うために不可欠な経費であり、損益計算書では「販売費及び一般管理費(販管費)」として計上されます。また、これらの保険契約は年度ごとに更新されるため、支払保険料は継続的に発生する費用です。
支払保険料はどのような時に使用されるのか
支払保険料は、以下のようなケースで使用されます。
- 企業資産(建物や設備)の火災保険
企業が所有する建物や設備、在庫などに対して火災保険を契約し、火災や自然災害の損害に備える場合、支払保険料として計上します。これにより、事故や自然災害による突発的な損害のリスクを減らすことができます。 - 業務用車両の保険料
企業が所有する業務用の車両に対して車両保険を契約し、事故や盗難の際の損害をカバーするための保険料も支払保険料として扱われます。業務活動での車両の損傷リスクに対応するものです。 - 賠償責任保険
製造業やサービス業で、業務上のミスや製品の欠陥が原因で第三者に損害を与えた場合の賠償リスクをカバーするため、賠償責任保険を契約することが多いです。これも支払保険料に含まれます。 - 従業員の健康管理や福利厚生のための保険
従業員の健康を守るために契約している医療保険や健康保険、労災保険の保険料も支払保険料として計上されます。従業員の健康管理や福利厚生を通じて企業の安定的な経営を支えるためのものです。 - 役員や従業員の生命保険
企業の重要な人材を保護するための役員保険や、従業員の福利厚生としての生命保険料も支払保険料に含まれます。特に、役員が万が一の事態に備えるための保険は、経営リスク管理の一環として重要です。
支払保険料の仕分例
「支払保険料」を使った具体的な仕分例です。
会社所有の建物にかかる火災保険料を現金で支払った
会社所有の建物にかかる火災保険料10,000円を現金で支払った場合:
借方:支払保険料 10,000円 / 貸方:現金 10,000円
(説明:会社所有の建物の火災保険料を支払いました)
営業車両の保険料を普通預金から支払った
営業車両の保険料15,000円を普通預金から支払った場合:
借方:支払保険料 15,000円 / 貸方:普通預金 15,000円
(説明:営業用車両の保険料を支払いました)
役員向けの生命保険料を現金で支払った
役員向けの生命保険料として20,000円を現金で支払った場合:
借方:支払保険料 20,000円 / 貸方:現金 20,000円
(説明:役員の生命保険料を支払いました)
従業員の福利厚生として医療保険料を普通預金から支払った
従業員の福利厚生として医療保険料25,000円を普通預金から支払った場合:
借方:支払保険料 25,000円 / 貸方:普通預金 25,000円
(説明:従業員の福利厚生のため医療保険料を支払いました)
製品の賠償責任保険料を現金で支払った
製品の賠償責任保険料30,000円を現金で支払った場合:
借方:支払保険料 30,000円 / 貸方:現金 30,000円
(説明:製品の賠償責任保険料を支払いました)
会社の資産に対する保険料を普通預金から支払った
会社の資産に対する保険料12,000円を普通預金から支払った場合:
借方:支払保険料 12,000円 / 貸方:普通預金 12,000円
(説明:会社資産に対する保険料を支払いました)
営業車両の自賠責保険料を現金で支払った
営業車両の自賠責保険料5,000円を現金で支払った場合:
借方:支払保険料 5,000円 / 貸方:現金 5,000円
(説明:営業車両の自賠責保険料を支払いました)
著者 / Tommy Ikura
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