勘定科目「退職金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「退職金」(読み仮名:たいしょくきん、分類:販管費)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
退職金とは
「退職金」とは、従業員が退職する際に企業から支払われる一時金であり、長年の勤務に対する報酬や功労金としての意味を持ちます。退職金制度は、企業が従業員の長期的な貢献に報いるため、また従業員の生活の安定を支えるために設けられることが一般的です。退職金の金額は、勤続年数や役職、給与額、企業の退職金規定などに基づいて決定され、支払い方法には一括払いと分割払いが存在します。
退職金は、従業員の福利厚生の一環としても重要であり、企業にとっても従業員の定着率向上やモチベーションの維持に寄与する側面があります。また、退職金は従業員の退職後の生活の基盤となるため、一定の年数勤務した後に支給することで、従業員にとっての経済的な安全網として機能します。企業が退職金を支払う際には、その額を「退職金」として勘定科目に計上しますが、これに関連して「退職給付引当金」を積み立てておくことも一般的です。
退職金はどのような時に使用されるのか
退職金は、以下のようなケースで使用されます。
- 従業員が退職する際の一時金の支払い
従業員が定年や自己都合、あるいは会社都合で退職する際に、その勤務年数や貢献に応じて退職金が支払われます。これにより、企業は長年の勤務に報いる形で退職金を支出します。 - 企業の退職金規定に基づく支出
企業が設けている退職金制度や退職金規定に基づいて、退職者に対して退職金が支給されます。規定に従った額を退職金として計上し、従業員への支払いを行います。 - 役員退任に伴う特別な退職金支給 役員や取締役が退任する場合、一般の従業員とは異なる形で退職金が支給されることがあります。この場合、役員報酬や特別功労金として退職金が支給されます。
- 業績による特別功労金の支給
業績に大きく貢献した従業員に対し、通常の退職金とは別に功労金が支給されることがあります。この場合も退職金として扱われ、仕訳されます。
退職金の仕分例
「退職金」を使った具体的な仕分例です。
従業員が退職し、退職金を支払った
従業員が退職し、退職金として現金で100,000円を支払った場合:
借方:退職金 100,000円 / 貸方:現金 100,000円
(説明:従業員の退職に伴い退職金を現金で支払いました)
退職給付引当金から退職金を支払った
退職給付引当金から退職金150,000円を支払った場合:
借方:退職給付引当金 150,000円 / 貸方:現金 150,000円
(説明:引当金から退職金を支出しました)
退職金を退職者の銀行口座に振り込んだ
退職金として200,000円を退職者の銀行口座に振り込んだ場合:
借方:退職金 200,000円 / 貸方:普通預金 200,000円
(説明:退職金を退職者の口座に振り込みました)
役員退任に伴い、特別退職金を支給した
役員退任に伴い、特別退職金300,000円を支給した場合:
借方:退職金 300,000円 / 貸方:現金 300,000円
(説明:役員の退任に伴う特別退職金を支払いました)
従業員の退職に伴い、退職給付引当金から退職金の一部を支払い、追加で現金を支払った
従業員の退職に伴い、退職給付引当金から退職金の一部80,000円を支払い、追加で現金50,000円を支払った場合:
借方:退職給付引当金 80,000円 / 貸方:現金 130,000円 借方:退職金 50,000円
(説明:退職給付引当金を充当し、退職金を支払いました)
退職金を支払うが、一部は退職給付引当金から支出し、残りを普通預金で支払った
退職金として450,000円を支払うが、うち300,000円は退職給付引当金から支出し、残りを普通預金で支払った場合:
借方:退職給付引当金 300,000円 / 貸方:普通預金 450,000円 借方:退職金 150,000円
(説明:退職給付引当金を一部使用して退職金を支払いました)
退職者の退職金を一時預かりとして先に普通預金に振り込み、その後現金で支払った
退職者の退職金を一時預かりとして先に普通預金に振り込み、その後現金で支払った場合:
借方:退職金 200,000円 / 貸方:普通預金 200,000円 借方:現金 200,000円 / 貸方:退職金 200,000円
(説明:退職金を一時的に預かり金に振り替えてから支払いを行いました)
著者 / Tommy Ikura
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