勘定科目「通勤費」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「通勤費」(読み仮名:つうきんひ、分類:販管費)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
通勤費とは
「通勤費」とは、従業員が自宅から勤務先までの通勤にかかる交通費を企業が負担する際に使用される勘定科目です。通勤費には、公共交通機関(電車やバスなど)の定期券代や、必要に応じて車での通勤にかかるガソリン代、駐車場代が含まれます。通勤費は、従業員が通勤によって発生する実費を補助するものであり、企業が人材を確保し、働きやすい環境を整えるための一環として支出されるものです。
会計上、通勤費は「費用」として損益計算書に計上され、企業にとっては人件費の一部として扱われます。一般的に、通勤費の支給は従業員にとって大きなメリットであり、企業が福利厚生として積極的に負担するケースが多く見られます。税法上、一定の基準額内であれば、通勤費は非課税扱いとなるため、従業員の手取り額が増え、企業としても所得税や社会保険料の負担を軽減できる点が利点です。
通勤費はどのような時に使用されるのか
通勤費は、従業員が自宅から勤務先までの通勤にかかる交通費用やその他の移動費用を企業が負担する際に使用されます。具体的には以下のような場面で通勤費が発生します。
- 公共交通機関の定期券代の支給
通勤に電車やバスなどの公共交通機関を利用する従業員に対し、企業は定期券代を通勤費として支給します。定期代は、通常1か月分、3か月分、6か月分などの単位で支給され、交通機関の利用費用を補助するための支出です。 - 車通勤にかかるガソリン代・駐車場代の支給
地域や勤務形態によっては、車で通勤する従業員もおり、その場合、ガソリン代や駐車場代を通勤費として支給することがあります。これにより、車通勤をする従業員も通勤費を負担されることなく、安心して勤務に就くことができます。 - 臨時的な通勤経路変更による交通費
何らかの事情で通常の通勤経路を変更せざるを得ない場合、企業が臨時で通勤経路変更に伴う追加の交通費を支給することがあります。このような場合も、企業は従業員の通勤に必要な経費を通勤費として計上します。 - テレワークからオフィス出勤時の交通費支給
テレワークを行っている従業員が一時的にオフィスへ出勤する場合、往復の交通費を通勤費として支給するケースがあります。通常の通勤ではないものの、業務のためにオフィスに出向く際には、通勤費が発生する場合があります。 - 非課税通勤手当の支給
通勤費は、一定の非課税限度額の範囲内であれば、税務上は非課税で支給することが可能です。このため、企業としては、従業員の手取り額を増やし、福利厚生の一環として支給しやすい項目となっています。
通勤費の支給は、従業員にとっては通勤にかかる負担を軽減し、企業にとっては福利厚生としての役割を果たします。また、通勤費の支給を通じて従業員の労働環境を整え、通勤費に関する適切な記録が企業の会計管理上も重要です。
通勤費の仕分例
「通勤費」を使った具体的な仕分例です。
定期券代を支給した場合
従業員の通勤定期券代として10,000円を現金で支給した場合:
借方:通勤費 10,000円 / 貸方:現金 10,000円
(説明:従業員の通勤定期代を通勤費として支給し、現金で支払います)
車通勤者のガソリン代を支給した場合
車通勤する従業員のガソリン代として5,000円を現金で支給した場合:
借方:通勤費 5,000円 / 貸方:現金 5,000円
(説明:車通勤のガソリン代を通勤費として支給し、現金で支払います)
臨時の交通費を支給した場合
急遽オフィスに出勤する必要が生じ、交通費として2,000円を支給した場合:
借方:通勤費 2,000円 / 貸方:現金 2,000円
(説明:臨時のオフィス出勤に伴う交通費を通勤費として支給します)
テレワーク従業員が一時的に出社した際の交通費
テレワークをしている従業員が業務の都合で出社した際の往復交通費として3,000円を支給した場合:
借方:通勤費 3,000円 / 貸方:現金 3,000円
(説明:テレワークから出社する際の交通費を通勤費として支給します)
定期代を非課税限度額で支給した場合
非課税限度額内での定期代として、15,000円を現金で支給した場合:
借方:通勤費 15,000円 / 貸方:現金 15,000円
(説明:非課税通勤費としての定期代を通勤費として支給します)
著者 / Tommy Ikura
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