勘定科目「雑損失」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「雑損失」(読み仮名:ざっそんしつ、分類:営業外費用)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
雑損失とは
「雑損失」は、企業の通常の営業活動や経常的な取引とは直接関係のない予期しない損失や少額の損失を計上するための勘定科目です。この損失には、特定の損失勘定科目に分類できない損失や一時的な偶発損失が含まれます。たとえば、災害や盗難によって発生した少額の損失、廃棄処分による損失、思わぬ損害賠償の支払いなどが該当します。雑損失は、財務状況に大きな影響を与えない軽微なものが多いため、特定の損失科目に分類せずに「雑損失」として処理されます。
雑損失は、企業の損益計算書において「営業外費用」または「特別損失」として計上される場合があり、経常的な損益とは区別されます。ただし、経営に大きな影響を与える大規模な損失や繰り返し発生するような損失は、別の科目で管理することが推奨されます。
雑損失はどのような時に使用されるのか
雑損失は、以下のようなケースで使用されます。
- 災害や盗難による少額の損失が発生した場合
企業の設備や備品、在庫などが、自然災害や盗難などで失われたり、破損した場合の損失に対して使用されます。保険適用外で補填がない場合に、雑損失として計上します。 - 商品や材料の廃棄処分による損失が発生した場合
古い在庫や傷んだ商品など、販売不可能な在庫を廃棄する際に発生する損失を雑損失として処理します。この損失は、販売可能性が失われたために発生するもので、一時的な損失として計上されます。 - 軽微な損害賠償金や罰金を支払った場合
業務上の軽微なミスなどで賠償金や罰金を支払う場合、その金額が少額である場合に雑損失として処理されます。例えば、納期遅延による違約金などが該当します。 - 業務とは直接関係のない偶発的な損失が発生した場合
業務とは関係のない偶発的な事故やミスによって少額の損失が発生した場合に使用されます。予算外の損失であり、経常的に発生しないため、雑損失として処理します。
雑損失の仕分例
「雑損失」を使った具体的な仕分例です。
事務所の備品が盗難に遭い、損失額を計上する
事務所の備品が盗難に遭い、損失額5,000円を計上する場合:
借方:雑損失 5,000円 / 貸方:備品 5,000円
(説明:事務所の備品が盗難に遭い、損失を計上しました)
販売不可能な在庫商品を廃棄処分し、雑損失として計上した
販売不可能な在庫商品8,000円を廃棄処分し、雑損失として計上した場合:
借方:雑損失 8,000円 / 貸方:商品 8,000円
(説明:販売できない在庫商品を廃棄し、損失を計上しました)
取引先への納品遅延により、違約金を支払った
取引先への納品遅延により、違約金3,000円を支払った場合:
借方:雑損失 3,000円 / 貸方:現金 3,000円
(説明:納品遅延に伴う違約金を支払い、雑損失として計上しました)
自然災害により、倉庫内の資材が破損し、資材費を雑損失として計上した
自然災害により、倉庫内の資材が破損し、資材費10,000円を雑損失として計上した場合:
借方:雑損失 10,000円 / 貸方:資材 10,000円
(説明:自然災害で倉庫内資材が破損し、損失を計上しました)
業務で使用していたPCの故障により修理不能と判断し、帳簿価額を雑損失として計上した
業務で使用していたPCの故障により修理不能と判断し、帳簿価額7,000円を雑損失として計上した場合:
借方:雑損失 7,000円 / 貸方:備品 7,000円
(説明:修理不能なPCの故障により、雑損失として計上しました)
社用車の不注意による軽微な事故で、修理費を雑損失として計上した
社用車の不注意による軽微な事故で、修理費2,000円を雑損失として計上した場合:
借方:雑損失 2,000円 / 貸方:現金 2,000円
(説明:社用車の軽微な事故による修理費を雑損失として計上しました)
期限切れの販促用パンフレットを廃棄し、雑損失として計上した
期限切れの販促用パンフレット5,000円を廃棄し、雑損失として計上した場合:
借方:雑損失 5,000円 / 貸方:消耗品費 5,000円
(説明:期限切れ販促パンフレットを廃棄し、損失を計上しました)
著者 / Tommy Ikura
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