勘定科目「為替差益」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「為替差益」(読み仮名:かわせさえき、分類:営業外収益)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
為替差益とは
「為替差益」とは、外国通貨を含む取引が発生した際に、為替レートの変動によって生じる利益を指します。例えば、外国の企業と取引を行った場合、その取引金額は通常、相手国の通貨で記録されますが、取引時と決済時の為替レートが異なると、日本円で換算した際に差額が生じます。決済時のレートが取引時よりも円安になった場合、その差額が為替差益として利益となります。
為替差益は、損益計算書の「営業外収益」に計上されることが一般的で、企業の本来の営業活動以外で得られる収益として扱われます。為替レートは経済情勢や金利の変動に影響されるため、日々変動します。この為替差益は、為替レートの変動を利用して意図的に利益を上げることができる一方、為替差損(逆に損失が発生すること)と表裏一体のリスクも伴うため、企業は為替リスクの管理を行い、安定した経営を目指します。
為替差益はどのような時に使用されるのか
為替差益が発生するのは、主に外国通貨で取引を行い、為替レートの変動が影響を及ぼす以下のような場合です。
- 外国通貨建ての売掛金・買掛金が発生する場合
外国企業との取引で売掛金や買掛金が発生した場合、取引時点のレートと決済時点のレートが異なると、円換算の金額に差が生じます。円安になると売掛金では利益(為替差益)が発生します。 - 海外資産の換算時
外国の資産(現地通貨での預金や証券など)を日本円で換算した際、為替レートが円安方向に動くと利益が発生します。これにより、海外資産の価値が上昇し、為替差益が計上されます。 - 外国通貨での借入金返済
外国通貨で借入を行った場合、返済時のレートが借入時のレートと異なると、返済金額に差が生じます。円安になった場合、支払う日本円の額が減り、為替差益が発生します。 - 輸出入取引の決済
輸出入企業では、商品やサービスの売買に外国通貨が絡むため、取引時と決済時の為替レート差で為替差益が発生することがあります。輸出時の決済が円安の場合、為替差益が生じ、利益が増加します。 - 貸付金や借入金の外貨建て決済
海外の企業に対する貸付金や借入金の返済が外貨建てで行われる場合、決済時の為替レートが変動することで、為替差益や差損が発生します。
このように、為替差益は、外国通貨で取引や資産運用を行う企業にとって重要な収益源となりますが、為替差損も同様に発生するリスクがあるため、企業は為替変動の影響を十分に考慮して管理を行う必要があります。
為替差益の仕分例
「為替差益」を使った具体的な仕分例です。
外国通貨建ての売掛金の回収時に為替差益が発生した場合
取引時に売掛金として100,000円相当だったものが、決済時に為替レートが円安となり110,000円となった場合:
借方:普通預金 110,000円 / 貸方:売掛金 100,000円 貸方:為替差益 10,000円
(説明:売掛金を回収時に円安による為替差益が発生しました)
外貨建ての預金を日本円に換算した際に為替差益が発生した場合
外貨預金として100,000円相当のものが、円安で105,000円になった場合:
借方:普通預金 105,000円 / 貸方:外貨預金 100,000円 貸方:為替差益 5,000円
(説明:円安により外貨預金の価値が上昇し為替差益を計上しました)
外貨建ての借入金を返済する際に為替差益が発生した場合
借入時のレートでは100,000円相当だったが、返済時に円安で90,000円で返済できた場合:
借方:借入金 100,000円 / 貸方:普通預金 90,000円 貸方:為替差益 10,000円
(説明:借入金の返済により、円安の影響で為替差益が発生しました)
輸出代金の決済時に為替差益が発生した場合
輸出商品の売上として100,000円で計上していたが、決済時に為替レートが変わり110,000円を受け取った場合:
借方:普通預金 110,000円 / 貸方:売上 100,000円 貸方:為替差益 10,000円
(説明:輸出代金の決済時に円安の影響で為替差益が発生しました)
外貨建ての貸付金を返済時に為替差益が発生した場合
貸付時に100,000円相当であった外貨建ての貸付金が、返済時に円安の影響で105,000円になった場合:
借方:普通預金 105,000円 / 貸方:貸付金 100,000円 貸方:為替差益 5,000円
(説明:外貨建て貸付金の返済時に為替差益が発生しました)
著者 / Tommy Ikura
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