勘定科目「投資有価証券売却益」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「投資有価証券売却益」(読み仮名：とうしゆうかしょうけんばいきゃくえき、分類：特別利益)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
投資有価証券売却益とは
「投資有価証券売却益」とは、企業が保有する株式や債券などの投資有価証券を売却した際に、売却価格が帳簿価額（簿価）を上回った場合に発生する利益のことです。投資有価証券は、企業が資産運用の一環として保有する他社の株式や債券などの金融資産であり、経済状況や資産運用の方針に基づき売却することがあります。その際、売却益が発生した場合は「投資有価証券売却益」として営業外収益に計上され、損益計算書の「特別利益」や「営業外収益」に分類されます。
投資有価証券売却益は、通常の営業活動から発生する利益ではなく、企業が持つ余剰資金の運用や資産の流動化などの活動に関連して得られる一時的な収益です。例えば、投資目的で取得した株式が値上がりした際、その株式を売却して利益を確定する場合に発生します。このような売却益は企業の利益に貢献しますが、定期的な収益ではないため、安定的な収益源とは異なります。
具体的な計算方法としては、売却価格から帳簿価額を差し引いた差額が投資有価証券売却益になります。例えば、帳簿価額が100,000円の株式を120,000円で売却した場合、売却価格と帳簿価額の差額である20,000円が「投資有価証券売却益」となります。
投資有価証券売却益はどのような時に使用されるのか
投資有価証券売却益が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 保有する株式や債券を売却して利益を得た場合
投資有価証券を売却した際、その売却価格が帳簿価額を上回った場合に、売却益として「投資有価証券売却益」を計上します。これは資産運用の一環であり、企業の収益を一時的に増加させます。 - 資産運用の方針変更や資金調達のために証券を売却する場合
企業の資金需要や運用方針の変化に応じて、保有する投資有価証券を売却することがあります。この際、売却価格が取得原価を超えていれば、売却益が発生し、「投資有価証券売却益」を用いて計上します。 - 有価証券の価格が上昇したため、利益確定を目的として売却する場合
株式や債券の価値が上昇し、売却による利益確定が見込める場合に売却を行うことがあります。投資有価証券の価格が帳簿価額よりも高く売却できれば、その差額を「投資有価証券売却益」として計上します。 - 市場環境の変動により、有価証券の売却益を確保する場合
市場の状況が好調な場合、値上がりした有価証券を売却し、利益を確保することで企業の利益を増加させます。この売却益も「投資有価証券売却益」として処理します。
投資有価証券売却益の仕分例
「投資有価証券売却益」を使った具体的な仕分例です。
帳簿価額 A円の株式を B円で売却した
帳簿価額150,000円の株式を180,000円で売却した場合：
借方：現金 180,000円 / 貸方：投資有価証券 150,000円
貸方：投資有価証券売却益 30,000円
（説明：帳簿価額を上回る価格で株式を売却し、売却益を計上しました）
取得価額 A円の債券を B円で売却した
取得価額200,000円の債券を250,000円で売却した場合：
借方：現金 250,000円 / 貸方：投資有価証券 200,000円
貸方：投資有価証券売却益 50,000円
（説明：債券を帳簿価額以上で売却し、売却益が発生しました）
帳簿価額 A円の投資信託を B円で売却した
帳簿価額300,000円の投資信託を320,000円で売却した場合：
借方：現金 320,000円 / 貸方：投資有価証券 300,000円
貸方：投資有価証券売却益 20,000円
（説明：投資信託を売却し、売却益を投資有価証券売却益として計上しました）
取得原価 A円の株式を B円で売却した
取得原価250,000円の株式を280,000円で売却した場合：
借方：現金 280,000円 / 貸方：投資有価証券 250,000円
貸方：投資有価証券売却益 30,000円
（説明：株式を帳簿価額以上で売却し、売却益を計上しました）
帳簿価額 A円の社債を B円で売却した
帳簿価額400,000円の社債を420,000円で売却した場合：
借方：現金 420,000円 / 貸方：投資有価証券 400,000円
貸方：投資有価証券売却益 20,000円
（説明：社債を売却し、帳簿価額を上回る売却益を計上しました）
帳簿価額 A円の株式を B円で売却した
帳簿価額500,000円の株式を600,000円で売却した場合：
借方：現金 600,000円 / 貸方：投資有価証券 500,000円
貸方：投資有価証券売却益 100,000円
（説明：株式を高値で売却し、売却益を計上しました）
著者 / Tommy Ikura
毎日の暮らしの中で役立つ情報や、趣味に関するコンテンツを分かりやすく解説するサイトを製作しています。