勘定科目「長期借入金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「長期借入金」(読み仮名:ちょうきかりいれきん、分類:固定負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
長期借入金とは
「長期借入金」とは、企業が金融機関や他の第三者から、事業運営や投資に必要な資金を調達し、通常1年以上の返済期限が設定された借入金を指します。長期借入金は、貸借対照表の負債の部に計上され、返済期間が1年を超えるものを示すため、流動負債とは区別されて非流動負債として扱われます。長期借入金は多くの場合、大規模な設備投資や事業拡大、新たなプロジェクトの資金調達など、長期的な投資に使用されます。
長期借入金は、企業が手元の自己資本だけでは資金を賄えない場合や、資金の流動性を高めたい場合に利用されます。長期的に安定した資金調達手段として、企業にとって重要なファイナンス手段です。金融機関からの借入であれば、利息が発生し、返済が長期にわたるため、利息と元金の返済計画を立てることが求められます。長期借入金の活用は、企業の成長と財務のバランスを保つために重要な役割を果たしますが、返済負担が長期にわたるため、資金管理の計画が必要です。
長期借入金はどのような時に使用されるのか
長期借入金が使用される主なケースには、以下のようなものがあります。
- 設備投資や事業拡大
企業が工場や新しい設備の購入、オフィスの拡張、新しい店舗の開設など、将来の成長を見据えた大規模な投資を行う場合、長期借入金が活用されます。これにより、一度に多額の支出を賄うことが可能になります。 - 新規プロジェクトや研究開発費用
企業が新しい製品の開発や研究プロジェクトの資金を調達するために長期借入金を利用することがあります。特に、回収までに時間を要する投資には、短期借入金ではなく長期借入金が適しています。 - 資金流動性の向上
企業は短期の資金流動性を保ちながら、長期の負債として返済可能な形で資金を確保するために長期借入金を利用します。これにより、手元資金を他の経営活動に充てる余裕が生まれます。 - 既存借入金のリファイナンス
金利が低下した際、あるいは資金繰り改善のため、既存の短期借入金や他の負債を長期借入金に組み替える場合があります。リファイナンスにより、返済負担を分散し、企業の財務状況を改善できます。 - 財務基盤の強化
長期的な資金確保により、財務の安定性を保つために長期借入金が活用されます。これにより、企業の負債と資本のバランスを維持しつつ、資本構成を強化することが可能です。
長期借入金の返済計画がうまく管理されることで、企業はキャッシュフローを安定的に維持し、必要な資金を長期的に確保できます。特に、企業が成長期や投資期にある場合、長期借入金は重要な資金調達手段となります。
長期借入金の仕分例
「長期借入金」を使った具体的な仕分例です。
銀行から設備投資のために長期借入金として借り入れた場合
銀行から500,000円を設備投資のために長期借入金として借り入れた場合:
借方:現金 500,000円 / 貸方:長期借入金 500,000円
(説明:銀行から設備投資資金を長期借入金として調達しました)
新しい店舗の開設費用を長期借入金で調達した
新しい店舗の開設費用300,000円を長期借入金で調達した場合:
借方:現金 300,000円 / 貸方:長期借入金 300,000円
(説明:店舗開設のために長期借入金を調達しました)
1年後、長期借入金のうち50,000円を返済した
1年後、長期借入金のうち50,000円を返済した場合:
借方:長期借入金 50,000円 / 貸方:普通預金 50,000円
(説明:長期借入金の元金を返済しました)
リファイナンスにより、既存の短期借入金を長期借入金に組み替える
リファイナンスにより、既存の短期借入金100,000円を長期借入金に組み替えた場合:
借方:短期借入金 100,000円 / 貸方:長期借入金 100,000円
(説明:既存の短期借入金を長期借入金に組み替え、返済負担を分散しました)
新たなプロジェクトの資金として長期借入金で借り入れ、利息を支払った
新たなプロジェクトの資金として700,000円を長期借入金で借り入れ、利息5,000円を支払った場合:
借方:現金 700,000円 / 貸方:長期借入金 700,000円 借方:支払利息 5,000円 / 貸方:普通預金 5,000円
(説明:プロジェクト資金を長期借入金で調達し、利息を支払いました)
長期借入金の返済のため、現金で支払った
長期借入金の返済のため、100,000円を現金で支払った場合:
借方:長期借入金 100,000円 / 貸方:現金 100,000円
(説明:長期借入金の元金を返済しました)
著者 / Tommy Ikura
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