勘定科目「未払消費税」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「未払消費税」(読み仮名:みばらいしょうひぜい、分類:流動負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
未払消費税とは
「未払消費税」は、企業が消費税の申告期限までに納付するべき消費税の金額を一時的に負債として計上するための勘定科目です。消費税は企業が商品やサービスを販売する際に顧客から受け取る「仮受消費税」と、仕入や経費支出時に支払う「仮払消費税」の差額に基づき計算され、決算や申告時に清算されます。この差額のうち、企業が納付しなければならない金額を未払消費税として処理します。未払消費税は、申告時に「仮受消費税」から「仮払消費税」を差し引いた最終的な消費税納付額を記録し、納税までの期間は貸借対照表上に負債として計上されます。
消費税の納付額は企業の売上や仕入額によって変動するため、未払消費税の額も決算期や申告期ごとに変動します。例えば、消費税の対象となる売上が多く、支出が少ない場合は未払消費税が大きくなる傾向にあります。逆に、仕入や経費にかかる仮払消費税が仮受消費税を上回る場合には消費税の還付が発生し、未払消費税として計上されません。
未払消費税はどのような時に使用されるのか
未払消費税が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 決算期末の消費税計算
決算や申告期において仮受消費税と仮払消費税の差額が納付対象となる場合、その金額を未払消費税として計上します。これは決算時に一時的に負債として処理し、申告時に清算するまでの間に使用されます。 - 消費税納付の申告期間内
消費税は通常、申告と同時に納付されますが、申告期をまたぐ場合は未払消費税として一時的に計上されます。申告期限が近づいた時点で未払消費税を確認し、正確な納税処理を行います。 - 仮受消費税と仮払消費税の差額調整
毎月や四半期ごとに消費税の納税額が確定する際に仮受消費税と仮払消費税の差額が負債として計上され、納付期限まで未払消費税として管理されます。 - 消費税還付時の調整
仮払消費税が仮受消費税を上回る場合には未払消費税が発生せず、納税義務が生じないため、未払消費税の計上は不要です。納税額がない場合でも、消費税の納付状況に応じて管理します。
未払消費税の仕分例
「未払消費税」を使った具体的な仕分例です。
決算時に仮受消費税と仮払消費税の差額を未払消費税として計上する
決算時に仮受消費税30,000円と仮払消費税20,000円の差額10,000円を未払消費税として計上する場合:
借方:仮受消費税 30,000円 / 貸方:仮払消費税 20,000円 貸方:未払消費税 10,000円
(説明:決算時に仮受消費税と仮払消費税の差額を未払消費税として計上しました)
申告時に未払消費税を現金で納付した
申告時に未払消費税10,000円を現金で納付した場合:
借方:未払消費税 10,000円 / 貸方:現金 10,000円
(説明:未払消費税を納付し、負債を清算しました)
期中で仮受消費税と仮払消費税が発生し、差額2を未払消費税として計上した
期中で仮受消費税50,000円、仮払消費税30,000円が発生し、差額20,000円を未払消費税として計上した場合:
借方:仮受消費税 50,000円 / 貸方:仮払消費税 30,000円 貸方:未払消費税 20,000円
(説明:仮受消費税と仮払消費税の差額を計算し、未払消費税として計上しました)
未払消費税が確定し、四半期納税として納付した
未払消費税が確定し、四半期納税として20,000円を納付した場合:
借方:未払消費税 20,000円 / 貸方:普通預金 20,000円
(説明:四半期ごとの納税で未払消費税を清算しました)
消費税の還付を受け、未払消費税が取り消された
消費税の還付を受け、未払消費税10,000円が取り消された場合:
借方:未払消費税 10,000円 / 貸方:仮受消費税 10,000円
(説明:還付に伴い未払消費税を取り消しました)
年度末において、仮受消費税と仮払消費税がの差額を未払消費税として計上した
年度末において、仮受消費税が60,000円、仮払消費税が40,000円の差額を未払消費税として計上した場合:
借方:仮受消費税 60,000円 / 貸方:仮払消費税 40,000円 貸方:未払消費税 20,000円
(説明:年度末に仮受消費税と仮払消費税の差額を未払消費税として計上しました)
著者 / Tommy Ikura
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