勘定科目「元入金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「元入金」(読み仮名:もといれきん、分類:元入金)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
元入金とは
「元入金」は、個人事業主の資本勘定で、事業を始める際に事業主が投入した資金や資産のことを指します。これは個人事業主の自己資本を表すもので、株式会社における「資本金」に相当する勘定科目です。元入金には、現金だけでなく、個人事業主が自己資金として提供した不動産や車両、機械などの資産も含まれます。
元入金は個人事業の純資産を構成し、利益や損失によってその残高が変動します。個人事業主が事業から利益を得れば元入金の残高が増加し、逆に損失が生じれば元入金の残高が減少します。また、事業主が個人的な用途で資金を引き出した場合は、「事業主貸」として扱われ、元入金から減算されます。
元入金はあくまで事業主の自己資本であり、事業の運転資金や設備投資、仕入れ資金などに使用されます。法人の資本金と違い、出資者が他に存在しないため、配当の必要がなく、すべて事業主に帰属します。また、元入金の額は開業時に決定されますが、必要に応じて追加で資金や資産を投入することも可能です。その場合、元入金勘定に追加記録されます。
元入金はどのような時に使用されるのか
元入金が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 開業時に資金や資産を投入する際
事業開始時に現金や資産を事業用として投入する際に元入金を用いて処理します。これは初期投資として、事業の元入金勘定に計上されます。 - 追加出資が行われた場合
事業の運転資金が不足しているときなどに、事業主が追加で資金や資産を投入する際にも元入金が使用されます。これにより、事業の資金繰りを支えることができます。 - 事業主が個人的な資産を事業用に転用する場合
事業主が自分の所有する個人的な資産を事業に投入する際にも元入金として計上されます。 - 年度末の利益確定後の資本調整
事業年度末の利益や損失を元入金に振り替え、元入金の残高を更新するために使用されます。
元入金の仕分例
「元入金」を使った具体的な仕分例です。
開業時に現金5を投入した
開業時に現金500,000円を投入した場合:
借方:現金 500,000円 / 貸方:元入金 500,000円
(説明:事業主が開業時に自己資金を投入しました)
事業の運転資金として追加で資金を投入した
事業の運転資金として追加で300,000円を投入した場合:
借方:現金 300,000円 / 貸方:元入金 300,000円
(説明:事業主が追加の資金を事業に投入しました)
個人所有の車両を事業に転用した
個人所有の車両(価値200,000円)を事業に転用した場合:
借方:車両運搬具 200,000円 / 貸方:元入金 200,000円
(説明:事業主が個人の車両を事業用に投入しました)
期末に年間の利益を元入金に振り替える
事期末に年間の利益200,000円を元入金に振り替える場合:
借方:損益 200,000円 / 貸方:元入金 200,000円
(説明:年度末に利益を元入金に振り替えました)
事業主が個人用の不動産を事業資産として転用する
事業主が個人用の不動産を事業資産として転用し、価値が1,000,000円の場合:
借方:建物 1,000,000円 / 貸方:元入金 1,000,000円
(説明:個人所有の不動産を事業に投入しました)
年度末に損失が生じ、元入金に振り替える
年度末に損失150,000円が生じ、元入金に振り替える場合:
借方:元入金 150,000円 / 貸方:損益 150,000円
(説明:年度末に生じた損失を元入金に振り替えました)
著者 / Tommy Ikura
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