勘定科目「リース債務」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「リース債務」(読み仮名:りーすさいむ、分類:固定負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
リース債務とは
「リース債務」とは、リース契約に基づき、企業がリース資産の使用に対して将来支払う義務があるリース料を負債として計上する勘定科目です。リース契約には、企業がリース提供者(リース会社)から資産を借り入れ、契約期間中にリース料を分割して支払う形で利用するものが含まれます。リース債務は、特に「ファイナンスリース取引」の際に用いられ、リース資産の使用権を取得し、契約期間内にリース料を分割して支払う義務を反映するために計上されます。
ファイナンスリース取引は、実質的にリース契約終了時に所有権が移転する、または所有権が移転しないが契約期間が資産の経済的耐用年数に相当するようなリース取引です。この取引においては、リース資産とリース債務を貸借対照表に計上し、リース料支払い時にリース債務を減少させます。会計基準に従い、ファイナンスリースは「資産の所有に伴う経済的利益とリスクが実質的に借り手に帰属している」と見なされるため、リース債務は資産と同様に貸借対照表に計上されます。
リース債務はどのような時に使用されるのか
リース債務が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- ファイナンスリース契約による設備導入
企業が設備や機械などの資産を購入する代わりにファイナンスリース契約で導入する場合、リース契約開始時にリース資産とリース債務を計上します。リース契約に基づき、リース債務として分割支払いの義務が負債に計上されます。 - 分割支払のリース料に対する負債計上
リース契約でリース料を分割して支払う場合、リース債務として各支払い期日までの未払い分を計上します。支払いのたびにリース債務が減少します。 - リース契約に基づく資産取得
ファイナンスリースで取得した資産が貸借対照表に計上されると同時に、リース債務も計上され、リース期間を通じてリース料支払いを行うごとにリース債務が減少します。 - リース契約に伴う利息費用計上
リース料のうち、元本返済分と利息分に分けられ、利息分は支払利息として費用計上されます。これにより、リース債務の減少額には元本返済分のみが反映されます。
リース債務の仕分例
「リース債務」を使った具体的な仕分例です。
リース資産の導入時にリース債務を計上する
リース資産の導入時にリース債務を計上する場合(リース資産100,000円、リース債務100,000円):
借方:リース資産 100,000円 / 貸方:リース債務 100,000円
(説明:ファイナンスリースでリース資産を導入し、リース債務を計上しました)
リース料の支払いとして元本返済部分と利息を支払った
リース料の支払いとして元本返済部分20,000円と利息3,000円を支払った場合:
借方:リース債務 20,000円 / 貸方:現金 23,000円 借方:支払利息 3,000円
(説明:リース料支払い時に元本返済分と利息を計上しました)
期中のリース料支払いで元本返済部分と利息分を支払った
期中のリース料支払いで元本返済部分25,000円と利息分5,000円を支払った場合:
借方:リース債務 25,000円 / 貸方:現金 30,000円 借方:支払利息 5,000円
(説明:リース料支払いによりリース債務と利息費用を計上しました)
リース資産の一部償却とリース債務の減少
リース資産の一部償却とリース債務の減少(元本部分40,000円、利息4,000円):
借方:リース債務 40,000円 / 貸方:現金 44,000円 借方:支払利息 4,000円
(説明:リース資産の分割返済によるリース債務減少と利息支払い)
リース債務の期末残高調整として、未払い分を計上する
リース債務の期末残高調整として、未払い分50,000円を計上する場合:
借方:リース資産償却費 50,000円 / 貸方:リース債務 50,000円
(説明:リース債務の期末残高を調整し、リース資産償却費として計上しました)
リース契約満了時に最終リース料として元本3と利息を支払う
リース契約満了時に最終リース料として元本30,000円と利息1,500円を支払う場合:
借方:リース債務 30,000円 / 貸方:現金 31,500円 借方:支払利息 1,500円
(説明:リース契約最終リース料支払いに伴いリース債務を全額返済)
著者 / Tommy Ikura
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