勘定科目「商品券」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「商品券」(読み仮名:しょうひんけん、分類:流動負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
商品券とは
「商品券」は、顧客が商品やサービスを購入する際に現金の代わりとして使用できる金券やクーポンのことを指します。企業が発行する商品券は、販売時点ではまだ提供されていない商品やサービスに対する前受け金として扱われ、企業の負債(「商品券」勘定)に計上されます。顧客が商品券を使用して商品を購入した時点で、企業はその商品券の額面分を売上として計上し、同時に商品券の負債を減額します。つまり、商品券は「企業が将来、顧客に対して提供する商品やサービスの引き換え義務」を表しています。
企業にとって商品券は、販売促進や集客効果が期待できる重要なマーケティングツールでもあります。商品券を販売することで、将来的な顧客の来店や購買を促進し、安定した売上確保が可能です。しかし、発行した商品券がすべて使用されるわけではなく、未使用のまま残ることもあります。そのため、商品券の有効期限や未使用分の会計処理が重要であり、未使用のまま有効期限を過ぎた商品券については「雑収入」として処理されることがあります。
商品券はどのような時に使用されるのか
商品券が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 商品券を発行して販売する場合
企業が販売促進の一環として商品券を発行し、顧客が購入した場合、代金を受け取った時点で商品券を負債として計上します。これは、商品券が使用されるまでは商品やサービスを提供していないため、未履行の義務があるとみなされるためです。 - 顧客が商品券で商品やサービスを購入する場合
商品券が実際に使用され、商品やサービスを提供した場合、商品券に相当する額が売上として計上され、負債として計上していた商品券の金額が減少します。これにより、商品券の義務が消滅し、売上として認識されます。 - 商品券が未使用のまま有効期限を迎えた場合
商品券には有効期限が設定される場合があり、未使用のまま有効期限を過ぎると、商品やサービス提供義務がなくなるため、負債から雑収入に振り替えられることがあります。これにより、未使用の商品券の金額が収益として計上されます。 - キャンペーンや福利厚生として商品券を配布する場合
企業が福利厚生やキャンペーンの一環で商品券を無償で配布することもあります。この場合も、商品券が使用されるまでは負債として計上し、使用時に売上として認識します。
商品券の仕分例
「商品券」を使った具体的な仕分例です。
商品券を現金で販売した
商品券10,000円を現金で販売した場合:
借方:現金 10,000円 / 貸方:商品券 10,000円
(説明:商品券を販売し、負債として計上しました)
顧客が商品券を使用して商品を購入した
顧客が商品券5,000円分を使用して商品を購入した場合:
借方:商品券 5,000円 / 貸方:売上 5,000円
(説明:商品券の使用により、売上として計上しました)
商品券の有効期限が切れ、使用されなかった商品券を雑収入として計上した
商品券の有効期限が切れ、使用されなかった商品券2,000円分を雑収入として計上する場合:
借方:商品券 2,000円 / 貸方:雑収入 2,000円
(説明:商品券の有効期限切れにより雑収入として処理しました)
従業員への福利厚生として商品券を配布した
従業員への福利厚生として商品券3,000円分を配布した場合:
借方:福利厚生費 3,000円 / 貸方:商品券 3,000円
(説明:福利厚生として商品券を配布し、負債として計上しました)
福利厚生として配布した商品券が使用された
福利厚生として配布した商品券3,000円分が使用された場合:
借方:商品券 3,000円 / 貸方:売上 3,000円
(説明:福利厚生で配布した商品券の使用により売上として計上しました)
キャンペーンとして無料配布した商品券が使用された
キャンペーンとして無料配布した商品券5,000円分が使用された場合:
借方:商品券 5,000円 / 貸方:売上 5,000円
(説明:キャンペーン配布した商品券が使用されたため売上に計上しました)
著者 / Tommy Ikura
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