勘定科目「賞与引当金」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「賞与引当金」(読み仮名:しょうよひきあてきん、分類:流動負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
賞与引当金とは
「賞与引当金」とは、企業が従業員に対して支払う予定の賞与(ボーナス)に備えて、将来の支出を見越し、会計上計上する負債勘定です。企業は、賞与の支払時期が決まっていても、実際の支払いは期末時点から次期以降になることが多く、その期間内に発生した賞与負担分を当期の費用として計上する必要があります。そのため、当期の従業員の労働に対する賞与額を見積もり、実際に支払う前に「賞与引当金」として計上することで、賞与の費用と収益を正確に対応させることができます。
賞与引当金の計上においては、賞与額の見積もりが重要です。企業は従業員ごとの勤務実績や過去の支給実績、業績予測などに基づき賞与引当金を見積もります。そして、期末時点でその見積額を負債に計上し、翌期の賞与支給時に実際の支出額と見積もりとの差額を調整します。これにより、従業員の労働に対する報酬を正確に反映し、財務状況を適切に管理することができます。
賞与引当金はどのような時に使用されるのか
賞与引当金が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 賞与を支払う前の会計年度末における引当計上
毎期末、企業は当期中の従業員の労働分に対する賞与支給見込み額を計上します。これにより、当期中に発生した賞与支払義務を正確に記録し、翌期の賞与支払に備えることができます。 - 賞与支給時に実際の支給額との差額調整
賞与支給時には、実際の支給額と引当金額を比較し、差額が発生する場合は調整します。これにより、従業員に対する報酬が適切に管理され、負債計上も正確に行われます。 - 業績や評価に基づく変動賞与
業績や個人の評価に応じて支給額が変動する賞与制度がある場合、期末時点で見積もった賞与引当金を、支給時に調整して実際の支給額に合わせます。 - 従業員の労働に応じた費用配分
賞与引当金は、企業の労働コストを正確に管理するための手段であり、毎期の収益に対応する費用として計上されます。これにより、企業は将来の賞与支払いに備え、安定した財務運営が可能となります。
賞与引当金の仕分例
「賞与引当金」を使った具体的な仕分例です。
期末において従業員の賞与を見積もり、賞与引当金を計上する
期末において従業員の賞与として300,000円を見積もり、賞与引当金を計上する場合:
借方:賞与引当金繰入額 300,000円 / 貸方:賞与引当金 300,000円
(説明:期末において、将来支払う賞与の見積額を賞与引当金として計上しました)
賞与支給時に、引当計上していた金額を現金で支払った
賞与支給時に、引当計上していた300,000円を現金で支払った場合:
借方:賞与引当金 300,000円 / 貸方:現金 300,000円
(説明:従業員への賞与支払いに伴い、賞与引当金を減額しました)
賞与支給額が変更となり、引当額との差額を追加計上して支払った
賞与支給額が350,000円となり、引当額との差額50,000円を追加計上して支払った場合:
借方:賞与引当金 300,000円 / 貸方:現金 350,000円 借方:賞与手当 50,000円
(説明:実際の賞与支給額が引当額を上回ったため、差額を追加計上して支払いました)
賞与支給額が引当額を下回り、実際に支払った
賞与支給額が引当額を下回り、実際に250,000円を支払った場合:
借方:賞与引当金 300,000円 / 貸方:現金 250,000円 貸方:賞与引当金戻入益 50,000円
(説明:賞与支給額が引当額を下回ったため、差額を戻入益として処理しました)
年度末に賞与引当金として計上し、業績向上を考慮して追加見積もりした
年度末に見積もり額400,000円を賞与引当金として計上し、業績向上を考慮して100,000円を追加見積もりした場合:
借方:賞与引当金繰入額 500,000円 / 貸方:賞与引当金 500,000円
(説明:業績に基づき、追加で賞与引当金を計上しました)
賞与支給時に引当額より多く支給した
賞与支給時に引当額より多く支給し、450,000円を現金で支払った場合:
借方:賞与引当金 400,000円 / 貸方:現金 450,000円 借方:賞与手当 50,000円
(説明:賞与支給額が引当額を超えたため、追加計上して支払いました)
著者 / Tommy Ikura
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