勘定科目「新株予約権」に関する解説と仕分例

勘定科目の一つである「新株予約権」(読み仮名:しんかぶよやくけん、分類:その他)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。

新株予約権とは

「新株予約権」とは、ある条件のもとで企業が発行する新しい株式を将来において一定の価格で購入できる権利のことです。新株予約権は、通常、企業が資金調達を図るため、または従業員や取締役のインセンティブとして発行されます。企業が新株予約権を発行することで、予約権者が権利を行使した際に新しい株式が発行され、企業はその対価を得ることができるため、資金の調達手段となります。

新株予約権は、権利を行使できる時期や条件、行使価格、株式数などが発行時に定められ、通常は契約書に基づき管理されます。また、新株予約権を行使した場合、発行済株式数が増加するため、既存株主の持ち分比率が希薄化する可能性があります。このような希薄化リスクを伴うため、新株予約権の発行には慎重な検討が必要です。

新株予約権は株主への分配として扱われることがなく、企業の負債として計上されることもありません。行使可能な新株予約権が発行された時点では、純資産の「新株予約権」という科目で貸借対照表に計上されます。予約権が行使されると「資本金」や「資本準備金」に振り替えられ、予約権の行使が行われなかった場合には、取り消しや失効の仕訳が行われます。

新株予約権はどのような時に使用されるのか

新株予約権が使用されるのは、主に以下のような状況です。

新株予約権の仕分例

「新株予約権」を使った具体的な仕分例です。

新株予約権を発行した

新株予約権を100,000円で発行した場合:

借方:現金 100,000円 / 貸方:新株予約権 100,000円

(説明:新株予約権を発行し、現金を受け取りました)

新株予約権の行使により資本金および資本準備金を計上した

新株予約権の行使により資本金150,000円、資本準備金50,000円を計上した場合:

借方:新株予約権 200,000円 / 貸方:資本金 150,000円
                            貸方:資本準備金 50,000円

(説明:新株予約権が行使され、資本金および資本準備金に振り替えました)

新株予約権を無償で発行し、行使時に資本金を計上した

新株予約権を無償で発行し、行使時に250,000円の資本金を計上した場合:

借方:新株予約権 250,000円 / 貸方:資本金 250,000円

(説明:無償で発行された新株予約権の行使により資本金を計上しました)

新株予約権の一部が失効し、取り消しとして計上した

新株予約権の一部が失効し、取り消しとして30,000円を計上した場合:

借方:新株予約権 30,000円 / 貸方:その他資本剰余金 30,000円

(説明:新株予約権の失効により資本剰余金に振り替えました)

業務提携に伴い、新株予約権を付与し、現金を受け取った

業務提携に伴い、新株予約権を付与し、現金40,000円を受け取った場合:

借方:現金 40,000円 / 貸方:新株予約権 40,000円

(説明:業務提携のインセンティブとして新株予約権を発行しました)

新株予約権を発行したが、期限までに行使されなかったため、100,000円を失効として資本剰余金に振り替えた

新株予約権を発行したが、期限までに行使されなかったため、100,000円を失効として資本剰余金に振り替えた場合:

借方:新株予約権 100,000円 / 貸方:その他資本剰余金 100,000円

(説明:行使期限切れにより、失効した新株予約権を資本剰余金に振り替えました)

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著者 / Tommy Ikura

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